不動産売却における減価償却費とは?計算方法・注意点を解説
マイホームなどの不動産について売却をお考えの方のなかには「減価償却費」との言葉を耳にされた方がいらっしゃるかもしれません。
この減価償却費とは、不動産売却後の納税額に関わるものであることから、不動産売却前にその内容を把握しておくのがおすすめです。
そこで今回は、不動産売却における減価償却費とはどのようなものなのか、具体的な計算方法と注意点を解説します。
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不動産売却における減価償却費とは
不動産売却が初めての場合、減価償却費の言葉自体をご存じないかもしれません。
まずは、減価償却費とはどのようなものなのか、その概要や意味をチェックしてみましょう。
減価償却費の概要
「減価償却費」とは、築年数が古くなるほど減る建物の価値を金額として計算したものです。
例として築30年の住宅は新築当初より価値が下がるのが一般的で、金額にしていくら下がったかは一定の計算式から求められます。
減価償却費とは、築年数とともに価値が下がる建物部分に対して有効な考え方です。
マイホームのなかの土地部分については、購入から年数が経っても価値が下がらないことから、土地に減価償却費は使われません。
減価償却費の狙い
不動産売却で減価償却費の計算が必要になるのは、不動産売却の利益にかかる税金を正しく納める必要があるためです。
課税対象になるのは不動産売却によって得た利益で、正確には利益から不動産の購入・売却にかかった経費を差し引いた金額に対して課税されます。
不動産購入にかかる経費のなかには購入代金が含まれますが、新築の購入価格をそのまま経費として計上できるわけではありません。
住んでいる期間に劣化した価値は所有者が消費したものと見なされ、その分に相当する減価償却費を差し引きます。
新築の購入価格をそのまま経費にした場合は不動産売却の利益にかかる税金が不当に少なくなりますが、減価償却費を差し引いて現在の価値を反映させると適正な納税額が算出できます。
減価償却費が関係する税金は?
減価償却費が関係する税金は、不動産を売却した翌年に納める譲渡所得税です。
譲渡所得税とは、不動産を売却して利益が出た場合に課せられる税金です。
不動産を3,000万円で売却した場合を例に取ると、譲渡所得税はこの3,000万円全額に課せられるわけではありません。
この3,000万円から不動産購入・売却それぞれにかかった経費を差し引いて計算します。
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不動産売却における減価償却費の計算方法
不動産売却における減価償却費がどのようなものか把握したら、実際の計算方法を見てみましょう。
計算方法①定額法
売却する不動産がマンションの場合、減価償却費の計算には定額法を使います。
定額法とは、不動産の購入価格を法律で定められた耐用年数で割り、年数に応じて価値を減らすものです。
定額法による減価償却費の計算式は「建物の購入代金×0.9×償却率×経過年数」となります。
この計算式のなかの建物の購入代金とは、不動産購入代金のなかで建物のみの金額です。
また、計算式内の0.9は、購入費用の10%が建物の残存価額となるため、これを差し引く意味で使われます。
さらに、償却率は建物の構造などによって決められていて、鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造ならば0.015です。
鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造の法定耐用年数は70年ですが、計算式のなかの経過年数は購入から売却までの年数を当てはめます。
計算方法②定率法
減価償却費のもうひとつの方法には、定率法があります。
定率法とは、不動産購入費用からこれまでの減価償却費を引いた残りの金額に対して、一定の償却率をかけて計上するものです。
定率法には、定額法と比較して減価償却が早く進む特徴があります。
定率法で計算された減価償却費は、年を経過するごとに低くなります。
譲渡所得税の確認方法
譲渡所得税の金額を確認するには「課税譲渡所得×譲渡所得税率」を計算しましょう。
課税譲渡所得とは、不動産の売却金額から購入・売却の経費を差し引いたものです。
購入の経費は、減価償却費を差し引いた不動産の購入金額のほか、購入にかかった手数料・登記費用などを計上できます。
また、売却の経費には、仲介手数料や印紙税などが計上可能です。
譲渡所得税率は不動産の所有年数によって差があり、5年以下の短期譲渡所得は、5年超の長期譲渡所得より高い税率が設定されています。
計算の結果譲渡所得がプラスとなる場合、譲渡所得税を納める必要があります。
譲渡所得税の納税方法
譲渡所得税を納める場合、勤務先の年末調整とは別に確定申告をおこないます。
確定申告は、不動産を売却した翌年の2月15日~3月15日の間での手続きが必要です。
確定申告には申告書が必要になるほか、不動産売却に関連する書類が必要となります。
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不動産売却の減価償却費計算における注意点
不動産売却で減価償却費を計算する場合、いくつかの注意点を把握しておきましょう。
注意点①不動産の購入金額を調べる
長く住んだマイホームを売却する場合、購入した当初の金額が不明となることがあります。
譲渡所得税を多く納めることにならないよう、不動産の購入金額を調べることが減価償却費の計算における注意点です。
不動産を購入した当初の金額を調べるには、保管してある不動産売買契約書を探しましょう。
不動産売買契約書に記載されている金額のうち、建物の価格が減価償却の対象です。
不動産売買契約書に記載されているのが建物と土地の合計金額の場合、消費税の金額から建物の金額を計算できます。
不動産のなかで土地部分は消費税が非課税ですので、消費税は建物のみにかかります。
注意点②不動産の購入金額がわからない場合
購入してから長い年月が経った不動産や相続した不動産などの場合、不動産の購入金額を調べられないことがあります。
このような場合には、売却金額の5%を概算取得費として計算できます。
この概算取得費で減価償却費の計算を進める場合、実際の購入金額が売却金額の5%より低い場合でも、5%で計算して問題ありません。
注意点③不動産の売却益がマイナスの場合
譲渡所得税は不動産の売却益に対して課せられる税金であるため、売却益がゼロまたはマイナスの場合には、原則として確定申告・納税手続きは不要です。
しかし、不動産の譲渡損失については、手続きをおこなえば、ほかの不動産の売却益から控除できます。
ほかの不動産の売却益から控除してもマイナスが残る場合には、給与所得や事業所得などそのほかの所得と損益通算が可能です。
不動産の譲渡損失を給与所得などから控除できれば、給与所得などにかかる所得税を減らせます。
注意点③経過年数の端数
減価償却費は、建物の購入金額に償却率と経過年数をかけて求めます。
このなかの経過年数について、6か月以上の端数については切り上げることが注意点です。
反対に、6か月未満の端数は、切り捨てて計算しましょう。
購入してから10年7か月の不動産を売却する場合、減価償却費の計算に使う経過年数は11年となります。
注意点④リフォーム費用
リフォーム費用は建物の取得費の一部となりますが、こちらは建物の取得費と同様に減価償却することが注意点です。
ただし、リフォーム費用を減価償却する場合には、不動産を購入してからの経過年数を使うのではなく、リフォームをおこなった日からの経過年数を使うことになります。
経過年数に端数があるならば、6か月以上は切り上げ、6か月未満は切り捨てて計算します。
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まとめ
不動産売却における減価償却費とは、築年数の経過とともに下がる建物の価値を金額にしたものです。
減価償却費の計算方法には定額法・定率法があり、マンションでは定額法によって減価償却費が計算されます。
不動産の購入金額がわからない場合の概算取得費や譲渡損失の損益通算など、減価償却費における注意点も確認してみてください。
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