不動産購入後の火災保険加入は義務?経費計上の可否や費用相場も解説!

不動産購入後の火災保険加入は義務?経費計上の可否や費用相場も解説!

マイホームの購入を検討している方にとって、火災保険への加入は重要な検討事項のひとつです。
しかし不動産を購入したら火災保険に入る必要があるのか、補償範囲はどうなっているのかなど気になることも多々あるでしょう。
そこで今回は、不動産の購入時に押さえておきたい火災保険の補償範囲や経費計上の可否、火災保険料の相場について解説します。

不動産の購入時に押さえておきたい火災保険の補償範囲

不動産の購入時に押さえておきたい火災保険の補償範囲

不動産を購入したときに火災保険への加入は義務なのか、火災保険に加入したらどこまで補償してくれるのかなどの疑問を抱くことがあるかもしれません。
まずは、不動産の購入時に押さえておきたい火災保険への加入義務や補償範囲について解説します。

不動産を購入したら火災保険に加入する義務がある?

不動産購入後の火災保険への加入は、法律上の義務ではありません。
しかし、不動産の購入にあたり、金融機関から住宅ローンを借りる際には、火災保険への加入が事実上の必須条件となっています。
これは、ローンの担保となる住宅が火災や自然災害などで損傷を受けた場合に、ローン返済が困難になるリスクを軽減するためです。
火災保険に加入していない状態で住宅が火災や自然災害などで大きな被害を受けると、修繕費用はすべて自己負担となります。
その結果、金融機関にとっては貸し倒れのリスクが高まるため、住宅ローンの利用者に対して火災保険への加入をほぼ義務付けています。
一方、現金一括で不動産を購入する場合には、火災保険への加入は任意です。

購入した不動産に対する火災保険の補償範囲

一般的に、火災保険の補償範囲は建物のみとなっています。
もし、家具や家電製品などの家財が自然災害による損害を受けた場合の補償も必要であれば、別途特約を付けるか、初めから家財も補償範囲に含まれる火災保険を選択しましょう。
一方、一戸建てとは異なり、マンションでは専有部分と共有部分に分けて火災保険に加入します。
専有部分とは、区分所有者が使用する居室を指し、マンションを購入した場合は自身で火災保険に加入する必要があるでしょう。
これに対し、共有部分はマンションの住民全員が使用するエントランスやエレベーターなどの設備を指します。
共有部分に関する火災保険には、マンションの管理組合が加入するケースが一般的なため、区分所有者は専有部分に対する火災保険にのみ加入すれば問題ありません。

火災以外のリスクに備えることが大切

火災保険という名称ではありますが、補償対象は火災による損害だけに限りません。
たとえば、台風や暴風雨、落雷、雪害による損害、給排水設備の破損による漏水被害、窃盗による損害なども補償範囲に含まれることがあります。
火災保険の補償は保険会社や契約内容によって異なるため、自分の住まいに適したものを選ぶことが大切です。

不動産購入後に加入する火災保険は経費にできる?

不動産購入後に加入する火災保険は経費にできる?

購入したマイホームの一部を事務所などとして使用するケースでは、火災保険料を経費として算入できるか気になるところでしょう。
ここでは、不動産購入後に加入する火災保険料の経費計上の可否について解説します。

火災保険料を経費にできるケース

火災保険料を経費として計上できるのは、おもに購入した不動産を事業目的で使用するケースです。
たとえば、賃貸物件のオーナーが購入した物件に火災保険をかけた場合、その保険料は不動産所得を得るための必要経費として計上できます。
事業用として購入したオフィスや店舗にかけた火災保険も同様に、事業に関連する費用として計上可能です。
一方、購入した不動産を自宅兼事務所として利用する場合、事務所部分に適用される火災保険料は経費として計上できます。
また、自宅兼事務所に対して火災保険と地震保険をかけた場合、地震保険料の控除を受けられる点も重要です。
所得から最大で5万円の控除が受けられるため、保険への加入が節税に繋がります。
ただし、この控除を受けるには確定申告時に必要書類を提出する必要があるため、忘れずに手続きを行いましょう。

火災保険料を経費にできないケース

一方で、マイホームの購入にともなう火災保険料は経費として計上できません。
これは、マイホームが事業用ではなく個人利用の資産と見なされるためです。
したがって、会社経営者や個人事業主であっても、個人名義で購入した自宅の火災保険料は経費に含まれない点に注意が必要です。

不動産の購入後に加入する火災保険料の相場

不動産の購入後に加入する火災保険料の相場

購入した不動産に火災保険をかけるにあたって気になるのは、やはり保険料ではないでしょうか。
火災保険料の相場は購入した不動産の条件によって大きく異なるため、注意が必要です。
ここでは、火災保険料の相場と保険料に影響を与える要因について解説します。

火災保険料の相場

火災保険料は契約する保険期間や補償内容によって変わりますが、一戸建てでは10年で8~14万円が相場です。
一方、マンションは専有部分に対する火災保険に加入する形となります。
そのため、10年で1万1,000~2万4,000円が相場となり、一戸建てよりも安くなる傾向があります。
ただし、補償内容や特約の有無によって保険料が高くなる可能性があるため、加入前に細かい内容を把握しておくことがおすすめです。

火災保険料に影響を与える要因

火災保険料は、建物の構造や面積、地域特性、補償内容など複数の要素が組み合わさって決定されます。
たとえば、建物の構造において、木造住宅は鉄筋コンクリート造や鉄骨造に比べて火災リスクが高いため、保険料が割高になります。
ただし、木造住宅でも耐火建築物や準耐火建築物に該当する場合は、鉄筋コンクリート造などと同じ保険料です。
また、一戸建ての延床面積やマンションの専有面積が広いほど、補償対象範囲も広がり、保険料が高くなることが予想されます。
不動産の立地条件も火災保険料に影響を与える要素です。
たとえば、台風の被害を受けやすい九州や沖縄エリアなどは、他のエリアと比較して火災保険料が高くなる傾向があります。
不動産購入後の火災保険料を少しでも抑えたい場合は、エリアの災害リスクを確認しておくことが重要です。
さらに、火災保険の補償を手厚くしたり、個人賠償責任補償などの特約を追加したりすると、保険料が増加します。

購入した不動産の火災保険料を節約するポイント

購入した不動産にかける火災保険料を少しでも抑えたいのなら、必要最低限の補償内容に絞ることが大切です。
購入した不動産が存在するエリアにはどのような自然災害リスクがあるのかを把握したうえで、自分たちに必要な補償内容を検討しましょう。
また、火災保険に加入する際、5年や10年といった長期契約を結ぶことで割引が適用され、保険料が安くなることがあります。
ただし、火災保険の契約期間を長期にすると、保険料を全額一括で支払う必要があります。
マイホームの購入後にはローンの返済にくわえて、生活費や教育費などさまざまな費用がかかるため、資金計画を立てたうえで検討することがおすすめです。

まとめ

住宅ローンを組んで不動産を購入するときには、火災保険への加入がほぼ義務付けられています。
マイホームの購入時に火災保険に加入しても保険料を経費として計上はできませんが、火災保険と一緒に加入する地震保険には所得控除が適用されます。
また火災保険料の相場は購入する不動産の条件や補償内容などによって異なるため、事前に相場を確認したうえで加入を検討しましょう。