建物構造の種類の1つ「鉄骨造」とは？メリット・デメリットも解説

マイホームの購入を検討している方のなかには、建物を木造にするか鉄骨造にするか迷っている方もおられるのではないでしょうか。
木造は古くから採用されており、価格もお手頃なため採用しやすい一方で、地震が多い日本では耐震性が高い鉄骨造の住宅の需要も高まっています。
そこで、建物に使われている鉄骨造の種類やメリット・デメリット、鉄骨造がおすすめのケースについて解説します。
これからマイホームの購入をご検討中の方は、ぜひ参考になさってください。

建物構造の種類の1つ「鉄骨造」とは？

建物の構造は、木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造と大きく3つの種類に分けられます。
構造は、建物の部位のなかでも、もっとも重要な部分です。
ここでは、建物の構造の1つ「鉄骨造」に焦点を当てて解説します。

鉄骨造とは

鉄骨造とは、建物を支える骨組みに鉄骨を使用している構造のことです。
強靭な鋼製素材を使うことで、耐震性が高くなるといった特徴があります。
おもに、マンションやアパートなどで使われていることが多いです。
また、従来の木造住宅よりも耐年数や安全性を求めて、鉄骨造の住宅にする方が増加しています。

鉄骨造の種類

鉄骨造は、6mm以上の鋼材が使われている「重量鉄骨造」と、6mm未満の鋼材が使われている「軽量鉄骨造」の2つの種類に分けられます。

重量鉄骨造

重量鉄骨造は、鋼材が厚く剛性に優れるため、鉄骨の本数を減らすことができ、少ない建材でも大きな荷重を支えられるといった特徴があります。
筋交いなしのラーメン構造で建てられ、軽量鉄骨造よりもすっきりとしたシンプルな構造になります。
また、木造より防音性に優れていることも特徴の一つです。
重量鉄骨造は、柱が太く壁も厚いため、壁が音の緩衝材になり防音します。
ただし、鉄筋コンクリート造に比べると、防音性は劣るため注意が必要です。
重量鉄骨造は、マンションや大型店舗、工場、体育館などの大規模な施設をつくる際に多く使用されます。

軽量鉄骨造

軽量鉄骨造は、あらかじめ規格が決まった鋼材を用い、プレハブ工法で組み立てられます。
軽量鉄骨は、重量鉄骨造に比べて薄いため、耐震性を強くするために複雑な構造になりやすいといった特徴があります。
鋼材を柱と梁で四角形になるように組み、真ん中に筋交いを通すことで三角形を作る「ブレース構造（トラス構造）」が基本です。
軽量鉄骨造は、設計の工程が少なくて済むため、家賃を比較的抑えられる点が魅力でもあります。
また、木造と違い、シロアリ被害に遭いにくいといった点も特徴です。
軽量鉄骨造は、多くがアパートや一戸建てで使用されています。

建物を鉄骨造の構造で建てるメリット・デメリット

続いて、鉄骨造のメリットとデメリットについて解説します。
メリットだけでなく、デメリットも考慮し、どのような構造で建物を建てるか判断しましょう。

鉄骨造のメリット

鉄骨造のメリットは、以下の3つがあります。

●耐震性が高い
●間取りの選択肢が多い
●耐用年数が長い

鉄骨造の最大のメリットは、耐震性に優れている点です。
鉄骨造は、鉄や鋼の粘りにより、地震エネルギーを吸収する構造となっています。
さらに、木材のように強度が異なることもないため、一定の強度になり安定した耐震性が望めるといった特徴があります。
また、必要な強度に合わせて、材料寸法がさまざまつくれるため、間取りの選択肢が多い点もメリットです。
さらに、鉄骨住宅に使われる材料は、工場生産によって安定供給が可能なため、品質が安定している点もメリットといえるでしょう。
一方で、木造住宅は、木の種類や質により品質に差が生じてしまいます。
鉄骨住宅では、木造住宅のような職人によって仕上がりにばらつきが起こる心配も不要です。
そのほかにも、鉄骨住宅は、耐用年数が長いといったメリットもあります。
木造住宅の場合は、耐用年数が22年と短いですが、鉄骨住宅の場合は軽量鉄骨造が19年または27年、重量鉄骨造は34年と耐用年数が長いのが特徴です。
つまり、木造住宅よりも安心して住める期間が長いといった点も魅力です。

鉄骨造のデメリット

一方で、鉄骨造のデメリットは、以下の3つがあります。

●建築コストが高い
●断熱性・通気性が低い
●錆が発生しやすい

鉄骨造のデメリットとしてまず挙げられるのが、建築にかかるコストが高い点です。
その理由は、木材よりも鉄骨のほうが材料費が高いためです。
加工もすべて工場でおこなわれるので、その分コストが高くなる傾向になります。
また、鉄骨造は木造よりも重いため、地盤改良が必要になるケースが多いといえるでしょう。
地盤改良となれば、追加費用も発生するので、最終的にかかる建築コストが高くなってしまいます。
また、断熱性や通気性が低い点もデメリットの1つです。
鉄骨は、木造のように湿気を調整することができません。
そのため、夏は暑くて冬は寒くなりやすく、冷暖房に頼ることになり、電気代も高くなる傾向にあります。
さらに、鉄骨は錆が生じやすいデメリットもあります。
錆対策をおこなっていないと、年数が経過するごとに、建物が弱くなってしまうため注意しなければなりません。
表面を塗装したり、耐食性の高い金属でメッキするなどの対策をおこなえば、錆を防ぐことができるでしょう。

建物を鉄骨造の構造で建てるのがおすすめの方

では、どのような方が鉄骨造住宅に向いているのでしょうか。
鉄骨造住宅が向いている方は、以下のような場合です。

●資産価値を下げたくない場合
●デザイン性が高い家に住みたい方
●都市部で高層の建物を検討している場合

それぞれの特徴について見ていきましょう。

向いている方①資産価値を下げたくない場合

鉄骨造住宅に向いているのは、住宅の資産価値を下げたくないという方です。
前述したように、鉄骨造は耐用年数も長いため、経年による劣化が起こりにくいといった特徴があります。
そのため、木造住宅と異なり、資産価値が下がるスピードが緩やかなため、資産価値も下がりにくいことがわかります。
長期間にわたって住むことを想定し、かつ資産価値を下げたくないという場合は、鉄骨造住宅がおすすめです。

向いている方②デザイン性が高い家に住みたい方

鉄骨造は、木造住宅よりも柱の本数を減らすことができます。
そのため、広々としたリビングや吹き抜けといった間取りでも自由が利きます。
こだわりがあり、デザイン性が高い住宅を求める場合は、鉄骨造住宅が向いているといえるでしょう。

向いている方③都市部で高層の建物を検討している場合

都市部に暮らし、かつ住宅やビルなどが密集した地域で狭い土地しかないという場合もあるでしょう。
狭い土地で高層の建物を検討している場合は、鉄骨造の住宅は向いているといえます。
鉄骨造であれば、2階建て以上でも十分に建設することが可能だからです。
また、鉄骨の厚みを出せば防音性も高くなるため、隣の家の生活音なども遮断されやすくなります。
実際に、都市部の方が鉄骨造住宅を建てる数は多くなっているため、狭い土地しかなく、部屋数を増やしたいという方にはおすすめです。

まとめ

鉄骨造は、構造体の主要な部分に鉄筋が使用されている住宅のことで、重量鉄骨造と軽量鉄骨造の2種類に分けられます。
鉄骨造は、木造住宅に比べると建築コストが高くなってしまいますが、その分耐震性に優れ、品質が安定しているといったメリットがあります。
住宅の資産価値を下げたくない方や、自由な間取りが選択できるなどのデザイン性にこだわっている方は、鉄骨造の住宅がおすすめです。