空き家を放置すると損?放置するデメリット・税金・売却方法について解説

空き家を放置すると損?放置するデメリット・税金・売却方法について解説

日本では少子高齢化や核家族化の影響で空き家が増え続けています。
空き家の維持には多くの手間と費用が必要であり、放置されることが多いのが現状です。
この記事では、空き家を放置することのデメリットや「特定空家」に指定されると減税の特例が受けられない点、空き家の売却方法について解説します。

空き家を放置するデメリットは3つ!

空き家を放置するデメリットは3つ!

空き家を所有していると、日々の管理が大変と感じる方もいらっしゃるでしょう。
とくに空き家が遠方にある場合、交通費や移動時間までかかってしまい、負担が大きいです。
しかし、管理が面倒だからといって空き家を放置していると、以下のようなデメリットがあります。

①老朽化の進行

空き家は放置することにより、老朽化が急速に進みます。
放置された家屋は、換気や掃除がおこなわれなくなるため、木材が腐りやすくなったり、カビが発生しやすくなったりするからです。
木材の腐食やカビは建物の構造部分にも大きな損傷を与え、倒壊のリスクも高まるため危険です。
また、屋根や外壁の劣化により防水機能が失われ、雨漏りが発生することもあります。
雨漏りが起こると、家全体の腐食が進むため、注意が必要です。

②近隣トラブルの発生

空き家を放置すると、近隣とのトラブルが生じることもあります。
放置された空き家は、庭木が伸び放題になり隣の敷地にまで広がることがあります。
また、ハチやネズミといった害虫や害獣が繁殖することもあり、近隣住民の間で不安や苦情の原因となるでしょう。
このような状況は、ご近所との良好な関係を損なうことにもつながるため、空き家の適切な管理が必要です。
放置された空き家は、エリア全体の資産価値に悪影響を及ぼすことがあります。
たとえば、外壁に落書きがされたままの家や、庭木が手入れされず伸び放題になっている家を見た方は、近辺での物件購入をためらうかもしれません。
このような状態の空き家があると、所有する空き家だけでなく、近隣の物件の資産価値も下がり、結果として周囲に迷惑をかけることになります。
たとえば、築20年の家でも、住み続けている間に手入れがされている家と、放置された家では、放置されたほうが資産価値が低くなる傾向があります。
もし将来的に売却を考えた場合でも、資産価値が大幅に下がっていると、予想外の大きな損失につながる可能性があるため、注意が必要です。

③犯罪の温床になる

空き家が犯罪の温床になることは、重大なデメリットの1つです。
人の出入りがない空き家は、不法投棄の場所や、侵入が容易なため犯罪者にとって魅力的な場所になります。
そのため、放火や不法侵入のリスクを高め、結果として地域全体の治安悪化を招くことがあります。
さらに、詐欺グループが拠点として使うこともあるため、注意が必要です。

空き家を放置すると税金が上がる?特定空家について

空き家を放置すると税金が上がる?特定空家について

空き家であっても、所有している限り毎年税金がかかります。
不動産所有者に課せられる税金は主に固定資産税と都市計画税があり、居住者の有無に関わらず課税されます。

税金の計算方法

固定資産税と都市計画税の標準税率や制限税率は、以下のとおりです。

●固定資産税:固定資産税評価額×1.4%
●都市計画税:固定資産税評価額×0.3%


住宅用地には特例が適用され、税金が軽減されます。
たとえば、敷地面積200㎡の空き家で、評価額が1,800万円の場合、税金は以下のように計算されます。

●固定資産税:1,800万円 × 1/6 × 1.4% = 4万2,000円
●都市計画税:1,800万円 × 1/3 × 0.3% = 1万8,000円


住宅用地の特例は家が建っている場合に適用されるため、空き家を解体すると特例が適用されず、税金の負担が増大するため、注意が必要です。

特定空家とは

特定空家とは、管理が不十分で問題を引き起こす可能性のある空き家のことを指します。
特定空家に指定されると、住宅用地の特例が適用されなくなるため、注意が必要です。
主な特定空家の条件は、以下のとおりです。

●建物の倒壊リスク:土台が腐朽していたり、外壁が剥がれ落ちるなど、倒壊の危険がある状態
●衛生問題:害虫や害獣の発生、ごみの放置により衛生的に非常に有害な状態
●景観の損失:雑草が公道にまで伸びていたり、割れた窓ガラスがそのまま放置されていたりする状態
●セキュリティ問題:玄関や窓が施錠されておらず、簡単に侵入できる状態


これらの条件のいずれかに該当すると、空き家は特定空家として指定されます。
特定空家に指定された場合、自治体からの助言や指導がおこなわれ、状況が改善されれば指定が解除されます。
しかし、改善が見られない場合は、住宅用地特例の対象外となり、最終的には命令や罰金が科されるリスクがあるのです。
また、老朽化の著しい空き家については自治体が強制代執行により解体をおこない、解体にかかった費用を所有者に請求することもあります。

管理不全空家も税金が上がる?

「管理不全空家」は、2023年12月13日に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」によって新たに設けられました。
具体的には、以下のような状態にある空き家を指します。

●壁や窓が腐食や破損しており、部材の落下の危険がある
●管理が行き届かず、雑草や枯れ草が生い茂っている(病害虫の発生リスクがある)
●敷地内にゴミが散乱し、放置されている


管理不全空家は「特定空き家」のように完全に放置されているわけではありませんが、それでも一定の危険性が認められます。
管理不全空家に指定されると、特定空家と同じように住宅用地の特例が受けられなくなる可能性があるため、注意が必要です。

放置している空き家を売却する方法とは?

放置している空き家を売却する方法とは?

放置している空き家は老朽化したり特定空家に指定されて税金があがったりするリスクがあるため、早めに売却するのがおすすめです。
古い空き家の売却方法は、以下のとおりです。

①古家付き土地として売る

古家付き土地は、築年数が経過し、リフォームが必要な家や放置されている空き家が建っている土地を売る方法になります。
家自体にはほとんど資産価値がないと見なされるため、土地の価格のみで販売されます。
主に土地を求めている方々をターゲットにした売却方法です。
古家付き土地として売却するメリットは、以下のとおりです。

●解体費用が不要
●固定資産税の負担軽減
●住宅ローンの利用が可能


古家付きのまま売却するため、更地にする解体費用がかかりません。
そのため、売却コストを抑えつつ、手間をかけずに売却することが可能です。
また、家が建っている状態で売却するため、住宅用地の特例が適用され、更地に比べて固定資産税の負担が少なくなります。
そのため、売却活動を急がずにおこなうことができます。
さらに、古家付き土地は、住宅ローンの融資対象になりやすく、買主が低金利で資金を調達しやすいため、売却がスムーズに進むこともメリットです。

②更地にして売却する

売却方法の1つとして、更地にしてから売る方法があります。
更地(サラチ)とは、建物や構築物が何もない状態の土地のことです。
また、借地権や抵当権、地役権、地上権など、土地に関わる他の権利も付帯していない状態の土地を意味します。
家を事前に解体するため、空き家に起因するトラブルの心配がなく、メンテナンスの必要もありません。更地にして売るメリットは、以下のとおりです。

●良好な印象を与えやすい
●買主が見つかりやすい


更地は見た目がすっきりしており、第一印象が良くなるため、売れやすくなります。
また、土地の形状や大きさが明確にわかるため、購入者が計画を立てやすくなります。
売主が解体費用を負担することによって、買主はそのコストを考慮せずに直ちに新築工事を始めることができるため、購入希望者が見つかりやすいです。

まとめ

空き家を放置すると、老朽化の加速や近隣トラブルの発生、犯罪の温床になる点がデメリットです。
また、特定空家や管理不全空家に指定されると、住宅用地の特例の適用外になり税金が上がる可能性があるため、注意が必要です。
売却する際は、古家付き土地として売る方法や更地にして売る方法があります。