不動産の相続にかかる税金は?種類と計算方法を解説

不動産豆知識

不動産の相続にかかる税金は?種類と計算方法を解説

不動産を相続する予定がある方にとって悩みの種となるのが、税金の問題です。
不動産を相続する場合にはいくつかの税金がかかるため、あらかじめその内容を確認する必要があります。
そこで今回は、不動産の相続にかかる税金の種類と計算方法、不動産の相続にかかる税金の節約につながる控除制度を解説します。

不動産の相続にかかる税金の種類

不動産の相続にかかる税金の種類

不動産を相続した場合、納付する税金は1種類ではありません。
まずは、不動産相続にかかる税金にはどのような種類のものがあるか、チェックしてみましょう。

種類①登録免許税

不動産の相続にかかる税金の1つ目は、登録免許税です。
登録免許税は、不動産の名義変更手続きに必要な税金です。
不動産を相続する場合、所有者の変更に伴い、名義変更を登記所に届け出る必要があります。
この手続きにかかる税金が登録免許税です。
登録免許税は、不動産に限らず、船舶や航空機、会社の登記、免許、認可などにもかかる税金です。
不動産の相続では相続登記が必要になるため、登録免許税がかかります。

登録免許税の納付方法

登録免許税の納付方法には、現金納付、印紙納付、キャッシュレス納付の3種類があります。
現金納付を選ぶ場合は、金融機関に出向き、登録免許税用納付書に記入のうえ、窓口で所定の金額を納付します。
納付が完了したら領収証書が交付されるので、これを登記申請書などに貼り付けて提出しましょう。
印紙納付は、原則として税額が3万円以下の場合に利用できます。
印紙は法務局のほか、郵便局やコンビニなどで購入できます。
購入した印紙を登録免許税納付用台紙に貼り付け、手続きを進めましょう。
キャッシュレス納付は、インターネットバンキングやクレジットカードを利用した納税方法です。
また、電子マネーやQRコードによる納付も可能です。

種類②相続税

不動産の相続にかかる2つ目の税金は、相続税です。
相続税は、相続した財産にかかる税金ですが、相続税が課される財産の合計が一定額以下であれば、納付は不要です。
相続税の対象となる財産には、土地や建物などの不動産のほか、有価証券、預貯金、現金などがあります。
相続税が課される財産の合計が一定金額以上の場合には、相続税の申告と納付が必要です。

相続税の納付方法

相続税の申告が必要な場合、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内に、亡くなった方(被相続人)の住所地の税務署で手続きをおこないます。
一般的には、相続の開始を知った日は相続人が亡くなった日とされるため、この日から10か月以内に手続きをおこなう必要があるでしょう。
具体的な手続きとしては、税務署に相続税の申告書を提出し、算出した税額を納付します。
また、相続税が発生しない場合でも、相続時精算課税制度を適用している場合は、生前に贈与を受けた財産について申告し、還付を受けることができます。

不動産の相続にかかる税金の計算方法

不動産の相続にかかる税金の計算方法

不動産を相続する場合、登録免許税・相続税がかかります。
それぞれの税金の内容を把握したら、税金の計算方法を見てみましょう。

登録免許税の計算方法

不動産相続にかかる登録免許税の金額は、相続した不動産の価格によって異なります。
具体的な登録免許税の計算式は、以下のとおりです。
固定資産税評価額×0.4
この計算式における固定資産税評価額は、自治体が3年に1度見直しをおこなっています。
登録免許税を計算する場合は、役場で固定資産評価証明書を取得または閲覧したうえで、計算式に当てはめてください。

登録免許税を計算する場合の注意点

まず、登録免許税の計算に使用する固定資産税評価額は、1,000円未満を切り捨てる点に注意が必要です。
同様に、計算結果として求められた登録免許税の金額についても、100円未満を切り捨てたうえで納付します。
さらに、登録免許税を納める場合、いくつかの条件を満たせば免税措置の対象となります。
登録免許税の計算前には、免税措置について最新の情報を確認することが重要です。

相続税の計算方法

相続税を計算する場合、まず相続税の納付対象かどうかを確認するために、基礎控除額を求めます。
基礎控除額の計算式は、以下の通りです。

3,000万円 + 600万円 × 相続人の数

相続人が3人であれば、基礎控除額は4,800万円となります。
次に、課税遺産総額を求めるために、財産から借金などを差し引いた正味の遺産額から基礎控除額を引きましょう。
課税対象となる遺産総額が判明したら、法定相続分や遺言書などをもとに、相続人ごとの課税価格を計算します。
相続人それぞれが実際に納付する相続税の金額は、この課税価格に所定の税率をかけた金額です。
また、相続税の税率は課税価格によって異なります。

相続税を計算する場合の注意点

まず、遺産総額を計算する場合、不動産の価格は相続税路線価を基にした相続税評価額を使用することに注意が必要です。
相続税路線価については、国税庁のサイトで確認できます。
また、相続税の申告期限を過ぎると、無申告加算税が課されることも注意点のひとつです。
期限を過ぎるとペナルティが課せられるだけでなく、場合によっては遺産や相続人の財産が差し押さえられることがあります。

不動産相続で税金を節約できる控除制度

不動産相続では、登録免許税と相続税の納付が負担になります。
税金を抑えるためにいくつかの制度がありますので、適用できるかどうかチェックすることが大切です。

住宅資金贈与制度

住宅資金贈与制度とは、相続が発生する前の贈与にかかる贈与税を節約できる制度です。
両親などから不動産を相続するのではなく、不動産の購入資金を贈与された場合に利用できます。
直接相続に関する税金を節約するものではありませんが、将来的に相続した不動産に住むことを考えているなら、前もってこの制度を活用した贈与を検討するのが望ましいです。
住宅資金贈与制度の対象となるのは、父母または祖父母からの贈与で、住宅の新築・購入・増改築のための資金です。
対象となる方や住宅について一定の要件を満たす場合、限度額まで贈与税が非課税となります。

配偶者控除

相続税の配偶者控除とは、相続した財産のうち1億6,000万円までを相続税の非課税とする制度です。
この配偶者控除が適用されるには、戸籍上の配偶者であることや、相続税の申告期限までに遺産分割を終えていることなどが条件となります。
配偶者控除は、相続した不動産などにかかる相続税の負担を軽減し、残された配偶者が住む場所を失うリスクを避けるために重要な制度です。
配偶者から不動産や預貯金などを相続する場合には、配偶者控除が適用されるかどうか、要件を確認することが大切です。

相次相続控除

相次相続控除とは、10年以内に相次いで相続が発生した場合に利用できる節税制度です。
たとえば、祖父が死亡した後にすぐに父が死亡した場合、父と子どもが同じ不動産に対して相続税を納めることになります。
このように短期間に相続が重なると税金負担が大きくなるため、相次相続控除を利用することで相続税の負担軽減が図られます。
相次相続控除では、前回の相続で納めた相続税の一部について、次の相続で控除を受けることが可能です。
また、相次相続控除は、10年以内であれば一律の税負担軽減を提供するのではなく、1年ごとに10%ずつ減額されることがポイントです。
このように、相続と相続の間の年数によって控除額に差があり、負担の大きさに応じて相続税の軽減が行われます。

まとめ

不動産の相続にかかる税金は、登録免許税と相続税の2種類です。
登録免許税は固定資産税評価額×0.4%で計算し、相続税は基礎控除額を引いた課税遺産総額を相続人で分けて計算します。
不動産相続では税金の負担が大きくなりますが、節税につながる控除をチェックしてみてください。


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